中小企業の経営力向上マガジン「創業審査の基本」

「中小企業の経営力向上マガジン」2022年9月22日号
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【本日のテーマ】
■創業資金審査の基本
創業資金は、既存企業の借り入れとは違った角度から審査されます。
何故?
当然のことですが、既存企業の場合には決算書が存在し、金融機関は その決算書をベースに融資を検討します。
創業の場合には、決算書がないがために創業計画書(様々に様式があります) をベースにして、現場確認や創業者と面談をして融資の可否判断がなされます。
創業における資金調達は、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)と制度融資(注1)が ほぼすべてを賄っています。 (創業者の種々の事情により、不動産ノンバンクから資金調達をした例などもありますが…)

(注1)制度融資とは、地方自治体が民間の金融機関と信用保証協を活用した融資の制度を作り、     中小企業の資金調達をバックアップする仕組みです。     その中で、創業に特化した制度のことをここでは言っています。

さて、日本公庫や制度融資の審査のポイントはどこか?
最も重要なのは収支計画です。
事業が成り立つかどうかの判断がここで検討されるからです。
そして、売上、費用、利益の3視点の妥当性が求められます。
私が自治体の審査を行っていた時、本人は真剣なのですが、 「おっしゃっている売上は夢の話では」と思わず言ってしまったことありました。
夢を語るのは構いませんが、熱意が裏付けの売上を思いを込めて 語られても困ります。
また、費用ですが、業界の常識の範囲を超えるとこれも???
例えば、飲食店で家賃が売上比率20%なんて数値を出されるとこれも???。 10%くらいが妥当線。20%で利益を出せる理由を余程、根拠をもって説明 してもらわないと審査する側は納得できません。
そして、利益。
時折「1~2年はトントンで十分です」と言われるとこれまた困る。 「借り入れの返済はできますか?」と聞くとキョトンとする方がいたりします。
利益と減価償却を足した金額から、借り入れの返済ができるかどうかを 判断するわけですから「利益なし」では、返済不可能と判断するしかない。 笑えない話です。
こうした話がでてくる背景には、財務の基礎知識が乏しい方が創業者の場合、 特に多いことが挙げられます。
創業を目指す方は、事業の中身に執着しますが、財務に関する認識が極めて 甘いケースが多々見られます。
最近は、創業支援の専門家と称する方に収支計画などを作ってもらって、 当のご本人は結局のところ財務は分からずも増えています。
創業から3年、4年と経ち、事業を拡大するといった際には、決算書が重要な 道具になります。財務知らずでは、事業の発展は見込めません。
創業希望者の方は、入口の段階から財務の基礎を学ぶことが重要です。

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