中小企業の経営力向上マガジン「メインバンクは必要?」

「中小企業の経営力向上マガジン」2022年9月22日号
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【本日のテーマ】
■メインバンクは必要?
メインバンクとは、そもそも?
端的に言えば、複数の金融機関から借り入れをしている中、 最も借り入れの本数、金額が多く、かつ関係性が深いところと いえます。
大企業の場合には、直接金融の仕組みが充実してきたことから企業側が 重要視しなくなり、また、メガバンクなど銀行も特定の企業や 企業グループに大きく肩入れをするのは危険といったことから、メインバンクの 在り方そのものが変わってきているとが昨今の状況です。
一方、中小企業の場合はどうでしょう。
企業規模にもよりますが、最近は特にそもそもメインバンクという概念を 持っていない経営者が結構いるように思います。
したがって、貸す側の銀行や信用金庫なども「メインバンクは○○銀行」と いった認識を持たずに取り引きしているケースも、それなりにあると思います。
但し、企業が事業に行き詰まり再生案件となり、リスケジュールと なった場合には、メインバンクの話がどっと出てきます。
「メインとの話はつきましたか」等々、再生案件に取り組んでいると、 メインバンク以外の他行からの連絡を受けながら、全体の合意を取り付ける といった作業が発生します。
まずはメインバンクとの取り決めがあって、他行がそれに追随するといった スタイルは多分、日本独自のものではと思いますが、再生時には欠かせない やり取りです。
とはいえ、総じて、前述のように中小企業において、メインバンクという考えは 薄まっているのが現状ではないでしょうか。
ところで「事業成長担保権」という言葉、ご存じでしょうか?
政府が検討し始めている、今までとは違う形での担保、融資の考え方です。
無形資産なども含めて、企業の持続性や成長性を詳細に見て、企業全体を担保として とらえて、融資をしようというものです。
決算書の良し悪しだけではなく、企業の質をしっかりと見るべしと いえそうです。
事業成長担保権の話は、企業に深く入り込み、詳細にわたり情報を得て、 評価してとなりますので、複数行と平均的に付き合うよりもメインバンク性が 向いていると考えられています。
加えて、金融機関も組織変化からメインバンク性が強調されそうな 雰囲気です。
金融機関のスリム化が進み、行員の業務負担は増加傾向にあります。
かつてのように、1人の行員が営業をやり、1次的な審査を行い…。 さらに一方で、焦付きが出た際には、これに対応するといったことは もはやできません。
担当する企業に対して複数の業務を任せきれない状況にあるということです。
といったことから、行員の担当企業数を減らして、よりその企業の中に入り込み メインバンクとしての立場を勝ち取り、成長を後押しすることをベースに 融資やそれに付随するさまざまなサービスを提供する。
事業成長担保権を推進は、金融機関にとっても魅力的な考え方といえそうです。 (ただ、行員の分析力や問題解決力が低いと困りものとなりますが…)
こうしたメインバンク性の復活、もしくは再評価の動きは、私は非常に 良いことだと思います。
本来のあるべき姿ともいえそうです。
今後のメインバンク性と事業成長担保権の動き、じっくりと見ていきたい と考えています。

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